今回は、前の記事で紹介した、雑誌「無線と実験」2020年12月号72頁「原器忠実型300Bシングルモノーラルアンプ」小林一智先生(文献4))に触発され、0から開発するつもりで、全部の部品を一から集めて、丁寧に作ることを心掛けました。端子や筐体の研磨も開発したので、配線前の箱だけで1年以上かかりました。私としては、初めてサマになったアンプと思います。
今回は、透明度が違うと言われるアモルファストランスを使いたかったのと、電解コンデンサーを排除したかったので、中華のアリエクさんから柄巻き(柄巻きの場合淵に白い枠が設けられている)ではなく、整列された積層巻きのアモルファストランスを取り寄せ、6万時間に耐えるコーネルジュビラーのモータランコンデンサー(過去記事「RCAケーブル ベルデン88760」参照)を多用し、雑誌「管球王国」vol22 2001 AUTUMN 「管球アンプ・キットを「組む」愉しみ W.S.I91 Typeを参考に、ウェスタンライクな配線を心掛けました(送り出しコンデンサ周りは似たようにしましたが、コンデンサが大きいことなどから、完全に同じにできたわけではありません)。日本でこのサイズのアモルファストランスを見つけるのは難しいです。配線材は、「単線の綿巻配線材(多色)が簡単に入手(作成)できるようになりました!」の通り、テフロン線である銀メッキジュンフロン線で耐圧を確保しその上にワックスコードを被せ、JISに基づいた色分けを行い、メンテに配慮しました。電源は、上記文献4に従い一段を追加し、さらにラッシュカレント防止のため、最初のコンデンサの前に100Ωを追加し、その後の50uFのコンデンサの前に100Ωを入れました。初段のコンデンサの電源インピーダンスの巻き線+抵抗+整流管で、少なくとも300Ωは超えていると思います。WSIの91Bタイプアンプは、初段のコンデンサは20uFで、274Aに対しては大幅オーバーですが、一応問題なく動いていることからすると、本機はさらに安全側になるので、これでよいことにしました。実際のところ、電源オンのLEDを、310Aのノイズ防止のためのバイアスのコンデンサ50uF(+24vぐらいになる)から取っていますが、点灯して立ち上がるのに4秒ぐらいかかります。
いろいろ問題ありですが、とりあえずふたを閉めました。
正直言って、外枠づくりも、配線も、端子の研磨も、めちゃくちゃ大変でした。もう一台作る気力は、今はありません。