「91Bタイプアンプの製作(その1 紹介編)」では、とりあえずふたを閉めましたが、色々いじりたくなる性分で、安井先生の高周波対策のアース処理を始めました。また、ハムノイズ対策のためトランスをすべて木材で浮かしていましたが無責任すぎるので、アース処理をしようと考えました。
真空管アンプの高周波用アース対策
1 入力のグラウンド側を、アースから浮かして、並列のコイルと抵抗でアースに接続してノイズ対策
2 集中アースポイント全体を浮かして、並列のコイルと抵抗でアースに接続してノイズ対策
(91Bアンプでは、信号入力部はシャーシーにべたアース、その他は出力トランス付近でアースとなっています。)
3 トランスを浮かせて、並列のコイルと抵抗でアースに接続してノイズ対策
4 B電源を、整流管から、空芯コイルを介して、アースに接続してノイズ対策
5 (既にやっていましたが、電源について、コモンモードチョークコイルと、平行に2つの抵抗を入れて、ノイズ対策)
1,2は結構効きました。まとわりついたものが減って、立ち上がり立下りがしっかりするイメージです。
3をすると、ふわふわしていたのが、地に足をついたかのようにしっかりとしました。
4をすると、それなりに効きます。5の効果は、初めから対策していたのでよくわかりません。
原理的には、高周波につき、増幅やネガティブフィードバックによる抑制などができないにもかかわらず、
高周波ノイズをまき散らされ、その折り返しノイズで可聴域にも影響が出るのだそうです。
「音質アップグレード100」誠文堂新光社の112ページ「ノイズフィルターで生の雰囲気ある再生音」安井章先生には、その数値の例が載っています。
2は、FDー801#43に3ターン巻き、15オームと並列、
3は、上記「音質アップグレード100」78ページ、誠文堂新光社の「電源トランスのフローティング設置」安井章先生参照。SN8-300と33~68Ω並列、
5のほかの方法といては、上記「ノイズフィルターで生の雰囲気ある再生音」にあるように、交流電源の両端子それぞれにつき、SN8S-300と36Ω並列×2 にして、出力側に0.01μFで接続。なお、0.01μFは、耐圧十分な安全コンデンサーを使うこと。過剰なぐらい耐圧に気を付けてください。例えば岡谷製、あの日本産の300Bを製作していた岡谷製があります。抵抗の配列を間違い、交流電源の両端に接続してしまうと火を噴くので注意。
追試に当たっては、上記の文献を熟読されることをお勧めします。
なお、オリジナルの91Bの電源のまとめ方は、コンデンサ側だけで集中アースにまとめ、ブリーダー抵抗側だけで集中アースにまとめ、2つを1点で落としています。また、2Mの抵抗は、その一点アースに直接落ちています。他ではあまり見たことがないです。
オリジナルはそうなっていませんが、私は、アース側につき、共通インピーダンスを防ぐため、各ブリーダー抵抗から、直近の集中アースポイントまで、それぞれ導線を引いています。ただし、各真空管の入力端のグラウンド側と、カソード側はまとめておかないと、そのループ内に、トランスを設置するなどして磁束を切ることがあると、誘導ノイズを引くのだそうです(「The Art of Analog Circuits」というサイト)の「トランスからの漏れ磁束、そのベクトルと量」という記事を参照。そういう気がしたので、私はコンデンサ側は真空管ごとにまとめて、極力アースループが生じないよう閉じて配慮しました。コンデンサも、電源で並列することがありますが、トランジスタ技術紙の近年の低ノイズ24v電源の記事(忘れました)によると、コンデンサのプラスマイナス極の配線を近づけたほうがノイズが減るのだとか。。
また、実験的にチョークインプットにするべく、もう一方のチャンネル用として用意していたチョークトランスを、整流管直後に挿入してみました。もちろん電圧は下がります。さすが、チョークインプットは、とげとげノイズではなくサイン波形のノイズを出すだけあって、音は滑らかになりました。ただ、トランスのうなりノイズが多いのと、ふたが閉まらないので、元に戻しました。どこかに仕込む方法はないのかと模索しています。