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アンプの自作

western sound inc 91Bアンプ改造_noize対策(直熱管の交流点火ハムノイズ退治)

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ヤフオクでウェスタンサウンド91Bアンプ モノラル1台を入手した。91Bとは書いておらず、
遺族が売却したのか300bアンプとしか書いていなかったので、不人気で、玉無しを安くで手に入れた。
ただし、キットを素人が購入し、購入者が作成したもののようで、配線はある程度は、流儀に従ったものであるが、管球王国の記事通りには作られていない。

その後310×2、274を入手して、音を鳴らしたところ、ノイズが大きい。
ネガティブフィードバックが20dbもかかっているのに、15mVのハムノイズがあり、頭を悩ませた。
これだけノイズが大きいのは、トランスが直付けされており、トランスのアースループでノイズが出ているのではないか、
ナイロンネジを買おうなどと思っていた(マランツ7タイプのプリアンプの経験)。

そうこうしているうちに、2019年8月号無線と実験に「直熱管の交流点火における、ハムノイズの発生原因とその解決方法」
を発見した。無帰還で1mV以下にできるとのことで、やるしかない。

91Bタイプのこの希少なアンプに、勇気をもって、ボリュームの穴2か所をあけ、トランスを、側面に2つ付けた。
トランスは、トウエイの6.3v1Aタイプ、センタータップ付き2台である。
センタータップは使うつもりがなかったが、後述するがこれは必須である。
トランスのために側面に3か所の穴をあけた。100Hz用の回路は、アンプの前面側に置くしなかったが、
穴をあけると不細工なので、L字×4の金具に、強力両面テープで張り付けた。
両面テープは基板を固定するのに十分すぎる強度があった。

記事通り作成してみたところ、ボリュームの付け方に誤りがあるなど、さんざん苦労して、
ボリュームや回路定数をいじって、15mVのノイズは、8mVに下がったが、これ以上は下がらない。うざいノイズは変わらず。
100Hzのキャンセル回路はほとんど効かず。正逆を繰り返しても、ノイズは下がらない。
オシロを取り出してみると、50Hzのノイズが、鋭い3角波の形で大きく残っている。
50Hzが取り足りない。
記事とは異なり、別トランスなので位相がおかしいのではないか、
位相が異なるので、取り去った残骸が3角波になるのではと考え始めた。

外付けトランスのほうが位相が若干速いように思える。
巻き数もかなりの数に及ぶと、巻き線の長さの違い(距離の差)から位相差が生まれる。トランスに巻くべき巻き線もコア断面積によって変わってくる。

そこで、位相シフト回路はないものかと思った。

調べてみると、「移相器 (オールパス・フィルタ)について」というpdfが参考になった。
トランスのセンタータップを使い、入力信号のゲインを変えることなく、位相だけをずらすことができる。
センタータップがここで役に立つとは!!

この位相シフト回路は、オペアンプを使わないので、別電源不要。ゲインはセンタータップを基準にするので、半分。
記事をよく見ると、6.3Vを使っているが、現実にはかなり電圧を抑制しており(1/10以下?)、半分でも十分すぎる。

上記のpdfを参考に、6.3Vの両端子は、一方が1uf、他方が1kオームのボリュームにする。
そのコンデンサとボリュームの中央が出力だ。握手配線になりがちのところ、きちんと接続するために、
センタータップにラグ端子をはんだ付けして、足場を作る。その足場に1ufを接続して、他方はボリュームへ。
上記の文献より、位相差の角度は、2*atan(1/((2pi()*50Hz*1*10^-6*R)) [rad]
これにより、位相が180~143度に変化できるはず(計算が合っていれば)。
オシロで見て、位相差が2m秒だとすると、位相差は、2*pi()*50Hz*2/1000 [rad]

1kの位相シフト回路のボリュームを回すと、ぐいーんとナショナルのノイズメータが、ノイズの減少を表した!!
8mVのノイズは、4mV程度へ減少。

それほど遅れていないように思え、気のせいかもしれないし、2段目の増幅で位相遅れが生じているのかもしれずよくわからないが、確かに位相シフト回路は、非常に効果的であったので、位相差が重要な要素となる。

しかし、100Hzのノイズがまだとれるはずでは? 記事にはそれが力説されている。

オシロで見る限り、波形は100Hzは明確には見えない。スピーカ端子は設置していないので、ふらつきが大きい。
100Hzの回路の出力もオシロで同時に測ると、100Hzと同期しているように見える。
100Hzの回路を使えば、もう少しノイズが取れるのでは?

いろいろやってみて、4mVのノイズは、100Hzのキャンセル回路を利用して、1.8~2.2mVへ減少した。
100Hzのキャンセル回路はどちらが正逆なのかもかなり微妙。こちらも正逆スイッチをつけたほうが良いかもしれない。
100Hzのノイズは、それほど入っていないようだ。非常に小さく微妙。
100Hzのキャンセル回路では位相を変えてみたものの、それほど変化がないように思えた。

秋月等で入手できる多回転ボリュームやバーミヤダイヤル、減速器が必要かもしれない。

オシロ上では、50Hz、100Hzのノイズは明確には見えなくなったが、聴感上はまだ低いハムノイズ残っている。
ヘッドホンで左右をつないで、モノラルで聞いているが、これでもやっぱりうざいことには変わりない。
ただ、記事の「世界が違う」というのも、理解できるように思えた。
ノイズに埋もれていたのに比べ、洗われた感じがした。

今後は、ワニ口クリップ → ヘッドホン端子を使って、wavspectraで周波数解析をしようと思う。

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