7.デジタルオーディオのジッターの元祖
ジッターという言葉が騒がれる前に、
時間揺らぎやサンプリング方式について論じた、
私が知る限り、おそらく初めの文献がこちら。
(1)「ノンオーバーサンプリング方式(シンプルDAコンバータ)」
(「無線と実験」1997/3月p125)楠 亮平
(2)その元記事が、同氏の1996年11月の自作コンテスト「DAC編」。
以上のうち、(1)は、(2)を誰でも追試できるようにしたもので、
(2)のほうが理論的に詳しく書かれている。
ちなみに、(1)には、図5のICフォーミングに誤記があるので、注意を要する。
(2)には、ラムダパイだったか方式のオーバーサンプリングは、
結局は、スピーカーを視聴方向に多数並べて(つまり時間遅れを伴い)平均化したもので、正確でないという。
それゆえ、ローパスフィルタを通した場合には、結局そのデジタルの階段は消去され、
ノンオーバーサンプリング方式のほうが正確だという。
恐るべきは、インパルス応答に無駄な余韻が全くなく、刀のように切り立っている。
オーバーサンプリングをしたDACは、無駄な余韻が限りなく続く。
つまり、音像に常ににじみが生じる。
それからすると、ノンオーバーサンプリングのほうが、正確だと思わざるを得ない。
ちなみにフルーエンシーDACも同様な形状だったように思う。
それから、その元記事は、50khzだったかで、クロックを打ち直しており、
デジタルインターフェース(DAI)から供給されるクロックではなく、独立クロックを用いている。
このクロックは、頻繁に切り上げや切り下げなどで、クロックに揺らぎが生じているものの、
それでも、DAIよりも、正確なクロックを供給して音がよくなったと論じている。
ジッターを論じた、私が知る限り、おそらく初めの文献という点で、
私にとっては、歴史的には、とても重要な文献であると思う。