fppr-200の基板作りの記事も、10回目に突入した。
わが道を行く!レジストの極厚塗りで対応することにしたのは、前回のとおりである。
<試行錯誤の経緯の続き>
終わってみれば、「基板用感光剤の使い方」と大体同じなのであろうけれども、
厚塗りすれば、感光させても銅の地肌が見えず、エッチングできないのが困った。
また、
この「基板用感光剤の使い方」とは、fppr-200の現像液と、濃度の勝手が違うので、
一度銅の地肌が見えた濃度から、さらに、ちょぼっ、ちょぼっ、ちょぼっ、と
少しずつ加えても、地肌が見えず、現像し始めた濃度からさらに加えていることに、焦った。
(これ以上入れると全部剥げてしまう?
「基板用感光剤の使い方」の方法は厚塗りのように思え、
現像が完全にはできず、私には無理と思いこんでしまった。)
その頃、現像液が濃い緑となっており、現像できないぞ、という要因も重なった。
やはり、薄く塗らないといかんのか。。薄く塗ると、ピンホールとの区別がよくわからん。
ううう~~。また、よく焼くというのもやってみたが、まったく現像しないぞと焦った。
試行錯誤の開始後、1か月も頑張ってわかったのは、
さらにさらに、ちょぼっ、ちょぼっ、ちょぼっ、と
少しずつ加えると、現像するということだったが、その先が・・その先までは見えなかった。
たまたま、{厚塗り+よく焼き+現像液の濃度の増大の、その先をさらに増大}をなぜかやってみる気になったところ、うまくいった。
「その先をさらに増大」は、それまでの経験則からすると、かなり勇気が必要だった。基板をきちんと焼いていれば、全部剥げ落ちることはなく、濃度を増やしても大丈夫という気になり、
「簡易な温度制御装置」で紹介した慶応大学のpdfを見て、ドライヤーでなくトースターで焼くことが転機となった。
<fppr-200の基板づくりの手順>
前提として、コツについては前回説明したので、そちらをご参考願う。
①fppr-200(共立電子で専用現像液とともに購入。シンナーは不要?)を暗所で小分けして、小分けビンを黒いビニールで覆う。 原液は、暗い所へ。
小分けしたものは、水分やアルコール厳禁なので注意する。
②基板をスチールたわしで、銅ピカになるようにこする。
指の油などをとり、感光液がはじかないようにするため。
その後、アルコール(業務スーパーの1Lボトル)を付けて、ティッシュなどで拭く。
付いたアルコールは、必ず拭きとって、乾かせるか(感光液が弾くから)。
③ストロー、スポイドなどで、小分けビンから、基板の面積の1/3ぐらいを、垂らす。
ここで、塗る道具は、絶対に小分けビンに突っ込まない。 小分けビンが汚染されるから。水にぬれるとごみのように凝結し、
アルコールにぬれると、弾いてピンホールが無数にできる。
・スプレーは余計な空気を混ぜてしまい、なじむのを阻害し、
アルコールと同様ピンホールが出来るように思えたので、やめた。
結局後で筆で塗るから、意味がない。
空気を混ぜないタイプのプッシュ式ボトル(百円)なら、取り出す必要がなく、管理が楽かもしれない。
④ここからは、私の独自のところ。
・筆を使って引き延ばす。
・筆は、水で洗ったときは予め必ず乾燥させておく。また、ゴミがないように先を絞り取っておく。
・私が購入したのは、ダイソーの2.5cm幅のものだった。
・10cm角の基板なら、4回並列に縦に塗る。それが終わると、4回横に塗る。
・大きなムラがある場合には、さらに縦に塗ってもよい。もちろん先に横に塗ってもよい。
・ついたゴミは、筆ではねておく。
・角についた分厚い液は、45度面取りの要領で、筆を当てるか、2.5cm幅全体をもう一度塗るか、
90度回転した方向から塗る。
⑤その後、基板を1~2分ほど水平に置く。ある程度のムラは、これで解消する。
それを考慮すると、あまり何度も、塗り重ねると余計におかしくなる。
縦横1、2回ずつぐらいが好ましい。
このとき、赤セロファン(ダイソー)でくくった蛍光ランプ(「やっと点灯」)で作った暗室でみると、基板は怪しく黒光りしている。
⑥その後、直ちに、前々回の温度制御で述べたリフロー用のトースターに入れて、
100度(10度のオーバーシュートを考慮)にセットして、乾燥してから2分、合計5分ぐらいのプリベークを行う(温度、時間等は再考の余地あり。)。
両面基板なら、L字アングルを、周囲にばねでまきつけ、網から浮かせるなどが考えられる。
・あっという間に、感光基板が完成!
・これによれば、1日待つとか2時間待つとかは不要になる。
⑦露光機を取り出す。
露光機は、「露光機がやっと点灯!」で概要を説明した。
・38cmx24cmの高さ90mm(厚み9mm)の木組みの上に、
38cmx24cmの板を乗せた箱に、FA11021ZGMx4つ、の内臓を全部とりだして、
25mmx30mmの角材を介して、両端の接点を箱に固定する。
・38cmx24cmx5mm(薄すぎると割れる)の高透過ガラスを使い、
9mmx15の不当辺アングル1mを切り分け、ガラスを固定した。
・ガラスを固定したことで、ランプはガラスの中へ。
→ランプが露出しなくなり、安全のためにいちいち片づける必要がなく、作業効率がアップ。
⑧ガラスと露光機の重みで、原稿のOHPと基板を密着させる。密着も大事なところ。
密着が甘いと、像が全部流れる(「もう一度やってみた。対策が見えてきた。。」)。
・ohpの印刷濃度が薄いときは、百均カラーセロファンなどのフィルムを重ねるのがいいのかもしれない。
高額のフィルムに近づくのかもしれないと考えている。
⑨露光時間は、長め4分。もっと短くていいのかもしれないが、厚塗りなので。
厚塗りだからか、この時点では像は全く見えない。この点は市販のとは違う。
⑩現像は、百円の平らなタッパー(浅漬け容器)の中で、専用の現像液で行った。
・刺激臭がするので、一応マスク。強アルカリなので、手袋をする。
・臭いので、エッチングも、現像もすべてふたが出来る物を。。
・現像液は、少しずつ加える。この点も大事。
・根気よく現像が出来るまで、加え続ける。この点も大事。
⑪現像し始めたら、その濃度を保持し、様子を見る。
⑫銅ピカが現れるまで現像を続ける。
・鈍い色が出ているにすぎないときは、エッチングできず失敗になる。
・1分ぐらい様子を見て、現像が完了しない時は、
さらに濃度を上げるか、局所的に、濃度を濃くして塗る。
・スポンジでこするというyoutubeがあったが、全部こすっていたのでは、大変かつ危険すぎる。
⑬その廃液は、酢を混ぜて中和させ、だまが水中に浮かぶので、
これを数回ある程度透明になるまで、コーヒーフィルタで、こしとる。
(「新しい感光剤になってからのプリント基板作り」)
・終わったら、ph試験液で中和を確認し、足りなければさらに中和を試みる。
(「還元剤を使用してみた。 中和剤 ph測定液」)
⑯基板の本焼き?(ポストベーク)を温度制御下のトースターで行う。
現像液の水滴を拭いたら、130度で2分。もっと焼いた方がいいのかもしれない。
上記の「基板用感光剤の使い方」のサイトでは、150度で5分とあった。
⑮エッチングは、版画店の腐食液を使い、
湯銭か(アルミの鍋焼き容器100円)、ソフトあんかの上で行う。
・立ててやるのは、液がたくさん必要となり、非効率である。
専用の装置は、液がたくさん必要でお蔵入りになったというのをネットで見た。
・電子レンジ対応の耐熱のタッパー容器(100円)の中でやる。
⑯腐食液の廃液は、猛毒なので、絶対に水道に捨ててはならず、
画材店の中和剤で、カルシウム攻めにして水分を飛ばし、それをふき取って捨てる。
水道には一切流さない。